目覚めると、どこからともなく鐘の音が聞こえる。朝の光が射す居間一杯に、銀色の鐘の音が響いている。鐘はいくつもあるかのように、不規則に打たれ、重なり合い、反響する。鐘は空中で鳴っているようだ。遠近感がよく分からず、それらは離れているのかもしれないし、ごく近くにあるのかもしれない。それらの鐘は目に見えなかった。不思議に朝がいかにも朝だと言う感じがする。

 

いつもいるこの部屋が、どうもいつもと違うように見えて仕方ない。