2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

断片2

夕暮れに花火をして、その四方八方に燃える光、暗闇を伝わってくる焦げついた匂いが、はっきりと鼻孔をとらえる、ひとりでその十年もあとの明け方、椅子に腰かけて今朝の夢を思い出せないでいるとき。 盗まれたその自転車で彼は田んぼの広がる向こうに市民プ…

断片

遅い時間まで二人には話すことがいつまでも尽きなかったけれど、何の話をしたか聞かれても答えようがなかった。ただ没頭してタイヤのブランコの上で話していると、夕暮れの気配さえ空から消えたことに気づかなかった。いや、気づかなかったのではなくて、夜…