2019-01-01から1年間の記事一覧

ナンセンスな言葉の中の侘寂

覗き見

尻尾を隠したそのヘビを見ていると、煩わしいような寂しいような気がした。その白いヘビは真っ青な空の中で急降下していた。 喉が渇いて、頭が痛くて、僕はこめかみを抑えていた。彼女がそばにいた。「ヘビが」と、僕は頭がどろどろする、寝起きの冷たい頭で…

幽霊の会話

おれさあ、昨日お前の心の中の家に行ってきたんだって。家なのに柱しかなかったじゃん。お前もおらんし。 何があったん、他に? 畳となんか古いっぽいテレビ。 勝手に入んなよ。 虫とかいたんじゃね? おらんわ、虫なんか。 虫はいなかったけど鈴虫の音はめ…

人間の顔が砂になって、しゃりしゃりと雨の降るような音を立てながら落ちていくのを見るのは、子どもに還ったように懐かしい。何かに夢中になっていたのか、ふと目を上げたときにそこへ停車していることに気づく駅。自分自身の意識と空間に変な仕方で焦点が…

そこは川原だ。 きれいな水が流れている。 冷たい流れに指を入れて、僕は小石を拾う。

人はそれを見つけるかもしれない

春の雨 風の音 何ということはない会話 木々のざわめき 薄い日の明かり 走っていくだからそれに何という意味があるわけでもない。 ただ生きているというか、それだけだよ。 そう、明日には帰ってくる。 明日の今頃はあっちにいると思う。 別に何ということも…

断念

俺はそこまでは思えん

もし僕がタイヤだったら

もし僕がタイヤだったら、お父さんとお母さんを乗せてどこまでも転がっていきます。 ころころころころと転がって、この世の果てまでも転がっていきます。 もし僕がタイヤだったら、僕には目がありません。何も見ることができず、聞くこともできず、生まれた…

聖なる世界

だるい。この感じ。十分寝ているはずだけど、だるい。旅先だとよりだるい。みずみずしい気持ちでいられる肉体でいたいな。そう思う。健康にはこれまで以上に気をつけよう。もっと走ろう。もっと長く走ろう。食事もそうだろう。彼女はヘルシーな食事が好きだ…

すごくオタクっぽい黒尽くめの服をきた男たちのテーブルにつく。彼らは僕の知らないゲームやアニメの話を途切れなくしている。正面の男がB4大の紙を差し出して言う。「コードは読めますよね?」 紙には見たことのない記号を使った数式のようなものが書かれて…

教室に生徒が一度に来すぎて困る、という夢を見た。 なぜか木下さんが紛れていて、こっちを向いて笑っている。

じっと雨の音を聞いている。光が見える。青い枝葉に反射する。音だけが聞こえる。そこには時間がない。夢に時間がないのと同じように。誰かがドアを開ける。長いトンネルにこだまするような声。雨の中の足音。戦車。疲れている。それはとても気持ちよく。ま…

美容室に行ったら美容師がいなかったので、鏡の前の席に座って自分で髪を切る夢をみた。

僕がそれを決める仕方は、一度にそう決めるのではなく、徐々に、積極的ではなく、むしろぐずぐずと崩れる砂の足場のように、あらゆる可能性を失うようにして、ようやく、これっぽっちのものしか残っていない、という仕方で、結局自分がはじめからそこに立っ…

聖なる世界

内省はそれ自体病的な習慣だ。結局、無意識に、意図しないでも、それは生きているうちに死のことを考えるのと同じ。本質的にムダなことであり、少なくとも生きるための行為ではない。 僕はそれが一つのことの現れだと思う。経験にはいいものも悪いものもある…

風船が朝になっても部屋の天井に浮かんでいる。 「目を当てて覗いてみましょう」 シャボン玉を吹いてぶくぶく泡が吹き出す。 耳鳴りがするから眠れない。 雪が降る日は部屋でテレビを見ている。 アニメのピンク色の小さい犬が暗闇の中でこっちへ駆けながら死…

PXPXA

地面に浅く掘った穴に、足元から水が流れこんでいく。水は渦を巻いて穴の壁を削り、拡がった穴は水で一杯になる。水の隅に空が映る。そしてXX自身の影が映る。夢で見たような景色だと思うと、頭の血が冷たくなる。 それは夢ではない。映像も何もないから。た…

雪の結晶 眩しい夜道の光 鍋の中でお湯の沸く 磁石はくっつく 夜の間は死体 夢で風船になった 朝は雨が降る 一杯の人たちが横切っていく 道は封鎖されている 「酔っぱらい」 小さな袋に入っている くわがた ズルをして持って帰った 何か 喉がかわく 風鈴 ペ…

サッカーゴールのある風景。夕暮れに子供たちが遊んでいる。空は真っ赤で、辺りは血のように黒く赤い。みんな自分たちがどこにいるのか、すぐそこにいるのが誰なのか、わからないほど影に溶けている。ある少年がサッカーボールの上に片足をついて立っている…

うがい 改札 電子レンジ 毒きのこ わさび 山道 忘れ物 泣かないで 風船ガム 大きな川 三つの眼 歌がうまい シャワー ダイヤモンド ピクルス 留守番電話

飛び去る蝶を 両手で追いかける その靴音がうるさくて 眠りを覚ます恐いやつ 黄色い雨がっぱを着て 彼は雨の中で口をむすぶ つぼみがぱっと赤くはぜる 誰かが黒板に落書きをしていく 電話が鳴り響く 投げ出された腕 雷鳴 嵐の海の光

何か、木の板のようなものに捕まって、僕は海の波に飲まれているここはどれほど沖なのかこうしていることは危険なのか、そうでないのかわからない板の浮力で浮き上がり、空と海をみる そしてまた真っ暗なものの中に沈んでいく太陽の光が斜めに差し込む部屋で…

電話がかかってきたときから、嫌だった。電話がかかってくると大抵嫌な予感がした。しかし今回のことでは驚いた。なぜ◯◯がくるのか? 「上がってきてください」 と僕は言ったが、正直別にきてほしくなかった。一人でいたい気分だった。 それに、上がってきて…

日記

昨日から久々に長めのものに取りかかってみている。

激流 トースト 乾いた空 嬉しいマスト ピーマン グラタン 濡れた土嫌だな 首 血 詩人 南 風船 山 歌 縞 深夜の交差点 コンビニ 夢か!なんかずっと歩いている 北 地図 ざらざらする子供の頃行ったファミレスみたいな感じというか家に帰る 布団で寝る また明…

雨が降っている。彼は喫茶店にいる。長い時間が経ったな、と思う。 そこは小さな店で、どっしりした椅子に、膝の高さのテーブルがある。席はショーウィンドウに面し、通りを見渡せるが、雨で道は煙り、雲のせいで辺りは薄暗く、雨粒が窓を全体に覆い隠して、…

違う。あなたはそのメッセージを読み違えている、と二人は言う。それはすごく明確なメッセージで、あなたにほとんどすぐにでも、やってくるように伝えている。確かにはっきりとそのようには書かれていないし、読み過ごすのもわからなくはない。でも、その意…

虹色の飛行船。金色の空に飛んでいる。めちゃくちゃ横に長い。きらきらと銀色の光を放っていて、パチンコ屋みたいな音がしそうだけどしない。それは三途の川じゃん、と思う。とにかく横に長すぎる。行ってみたい。居間がなぜか真っ青な色に包まれている。僕…

〔車を運転しながら男は言う〕

〔車を運転しながら男は言う〕 いや、違うんだ。それは違う。間違っている。勘違いみたいなものだ。確かに物事がそういう風に見えることはある。それはよくわかる。しかしそんな風にものが見えること、そしてそれを君がするように捉えることは、割によくある…

苺みたいにぶつぶつの空酔って寝て、夜中に目が醒めると、頭の中で気持ちの悪い映像が、だらだら流れている。人間の肉や内臓、血のぐちゃぐちゃになったもの。それがハンバーグのように捏ねられていたり、湿った土の坂道の上に落ちていたりする。また、四方…