司会

すごく馬鹿馬鹿しい話なんですよ。私は今までそうやって考えたことはない、いや、常に考えているんです。こうやって縮こまって暗い部屋の中でじーっと自分の考えをいじくっているとですね、あるときピコーンと脳裏に閃いてくることがあるんです。それが一体何か分かりますか? わからないだろうなあ。でもいい、私は分からない前提で、でも分かっているかのように皆さんの前でお話しする専門家みたいなところがありますからね。ズバリそれが何かということをお伝えさせていただくと、それはテレビの画面、なんです。皆さんよくご存知でしょう? でもそれはいわゆるただのテレビの画面ではないんです。そんなの当たり前じゃないですか。一体どうします? 本当に私が言いたいことが、ただのテレビの画面に始終して、それが頭の中の闇にパッと花火みたいに浮かび上がって、ただそれだけで、はいお終い、ということだったら? 随分つまらない話だなとお思いになるんじゃないですか? 安心してください。そんなことはありませんよ。それは、『夜のテレビ』に限るんですから。それも、わかるでしょう、オセロみたいに、白黒に塗り分けられた舞台があって、そこに誰も聞いたことがない、背の高い俳優が立っている、『夜のテレビの中の舞台』に限るんです。それがメソメソとした私の夜の夢想の中に飛び込んでくるんです。ねえ、でもそれが何を意味するのかなんて、どうか聞かないでくださいね。それは(そんなものがいるとしたら)神様だけが知っていることなんですから。(会場 笑)