もし僕がタイヤだったら、お父さんとお母さんを乗せてどこまでも転がっていきます。
ころころころころと転がって、この世の果てまでも転がっていきます。
もし僕がタイヤだったら、僕には目がありません。何も見ることができず、聞くこともできず、生まれたという記憶以外は何もないまま、ころころころころと転がっていきます。
弟たちも乗せてあげたいと思います。でも、弟たちもタイヤかもしれません。もし、弟たちもタイヤならば、弟たちも転がっていきます。ころころころころと、みんなで並んでどこまでも転がっていきます。
もし僕がタイヤだったらいいなと思います。朝目が覚めたらタイヤだったらと思うのですが、タイヤには朝がありません。