あばらや

閉ざされた山奥のような空間の中に、一つのあばらやがある。柱も屋根も外壁も、何百年もの歳月によって朽ちた様子で、今にも崩れそうだ。中には誰も住んでいない。もう、とても長い間、この建物には人が立ち入っていないのだろう。
雪が降っていて、それは夜中の吹雪だった。あばらやは寒さに身を縮めるようにそこにじっとしている。

紫色の鬼がその中に住んでいる。鬼の体はクッキーで出来ていて、腰の辺りが崩れている。その欠片が畳に落ちて、足元がざらざらしている。