広い夜明けの湖で、ふいにすべての風がやんだ。僕が櫂を漕ぐ手を止めると、舟が起こすさざなみが収まっていく。舟の動きもやがて静止する。

イカを切って青い陶器の皿に載せる。彼女もそれを食べる。

横にたくさんの細い糸が張られていて、僕はそこを通り抜けなければならない、という夢をみる。すべての糸は物事における何らかの因果を示していて、僕の触れる一糸一糸があらゆることに影響を与えずにはおかない。糸に触れる度、僕はその因果の辿り着く先を見通せないと思う。何が何に関連し、どこまで至りつくのか、僕は知ることができない。それが妙に、青ざめて悲しく感じる。そんな感情を抱いたまま、目を覚ました。