非在

僕は、
手がなくても取ることができ、
耳がなくても聞くことができて、
口がなくても話すことができ、
目がなくても見ることができるだろう。

あなたもまた、
手がなくても取ることができ、
耳がなくても聞くことができて、
口がなくても話すことができ、
目がなくても見ることができる。

お互い、あまりそれに自覚的じゃないだけで。

僕たちは無音の中に音楽を聞き、
空白の中に色と形とを見、
死んだものの中で生きることができるから、
楽しく生きていくことができる。

そういうものだと思う。