無題

 子どもの頃、コンビニでコアラのマーチを食べた。あとハロハロも食べた。冷房が効いていて涼しかった。窓の外は空気がゆらゆらするほど暑いのだった。自転車がいくつか立っていた。ハンドルもものすごく暑いだろう。

 

 部屋に子どもたちが一杯いて、みんなが同じ画面をみていた。ゲームをしているのだった。ラックの高いところから、ぬいぐるみのへびが尻尾をだらりと下げている。だいぶ前からそこにいる蛇なのだろうと思う。そして階段の下から誰かが上がってくる足音がする。裸足で歩くから、ぺたぺたと鳴っている。

 

 風呂に入っていた。湯船が波打って溢れ、タイルを打つ。蛇口からお湯が注ぎ込みつづけている。小さい窓の外は夜だった。僕は夜空の広がりを感じていた。小さい月がみえた。

 湯を浴びて出ていくと、テーブルに置いたままの給水塔から冷たい麦茶を飲んで、そばにあったちんすこうを一袋分齧った。カーテンの向こうは窓が開いていて、風がさらさら吹いている。外で猫が鳴いた。

 

 「いやだ、火葬されたくない」とその小さな男は言って、両腕で僕のことを打った。そんなことを言っても、あなたはもう死んでいるのだ、と僕は思う。男は驚くほど小さな棺に入れられ、火葬炉に飲み込まれた。飲み込むという表現がぴったりくるほど、あっという間に入っていった。僕は時計を見る。やつが灰になるのはすぐだ。しかし、それからまた俺のところへやってくるだろう。そして同じようにごねつづけるだろう。そう考えると、とてつもなく面倒で、徒労を感じた。気分転換に外へ出ると、ものすごく眩しく、暑く、木が青々として風に吹かれていた。