「まあ、とにかく人の心への解像度が低いってことだろ。あの人の中で話が完結してるというかさ。でも、一々訂正したりしないよ。それは無理でしょう。でも、それでいいんだよ」
ーー
「おいっすー、◯くーん」
「週一回、こうやって俺の悩みの相談に乗ってくんない?」
ーー
「いや、怒りにまかせて北海道まで引っ越すなんてね。言わないけど、やめた方がいいよ」
「北海道か、すごいね」
「でも、北海道は大学がそっちだったらしい。だから、まったく縁のない土地でも内容だけど、それにしてもね」
ーー
「私は全部千賀効果だったと思ってますけどね」
「あの人は自己顕示欲が強く過ぎたってことです」
「自己顕示欲。確かに、ぴったりくる言い方ですね」
「よっしーは三辻より百倍マシでしたよ。素直でしたから」
ーー
Wさんは非常に疲れて見えた。腰か、体全体が痛そうで、両手を軽く広げて、よたつくような仕草をして動く。
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「裏切り者が禊をせずに帰ってくるのが許せない。やめてやろうかと思って。内定も持っとりますしね」
「え、そうなんですか。どういうとこですか?」
「北海道の〇〇という会社です。オンラインで一回面談して、東京でも会いました。後は、私がはいと言えば、もう決まる状態です」
ーー
「うーん、何ていうのかな。君と話していて、自分の考えを言うときにさ、それが上手く伝わらないというストレスを感じることがないわけだよ」
「他の人だとストレスを感じますか?」
「いや、何言ってんのって感じだね。感じまくるでしょ。そういう伝わらなさの怒りが、俺の創造意欲の根幹を成しているようなところもあるくらいだからね」
ーー
「まあ、そうですね。またそのうち、食事でも行きましょうよ」