さるすべりの木が庭に立っている。

 

霧のような雨が庭に降った日。

 

薄暗い網戸の向こうで、鳥が蜜柑を啄んだ。

 

猫が横切る。

 

夢の闇の中にそれが出る。

 

「パパ、パパ」

 

君はどこから話しかけているの。

 

みんな大好きだ。すべて思い出の中に生きている。

 

明けていく空。見たことのない色。

 

「呼んでるよ」

 

「今行くさ」

 

拾った団栗が掌の上。

 

誰かが歌を歌ってる。