風船が朝になっても部屋の天井に浮かんでいる。

 

「目を当てて覗いてみましょう」

 

シャボン玉を吹いてぶくぶく泡が吹き出す。

 

耳鳴りがするから眠れない。

 

雪が降る日は部屋でテレビを見ている。

 

アニメのピンク色の小さい犬が暗闇の中でこっちへ駆けながら死んでしまった。

 

うるさいうるさいうるさいうるさい。

 

それは島だった。ホテルの大きな窓から見ていた。XXは自分の腕が切断される夢をみた。朝目覚めるとその夢は曖昧になった。

 

今は何年何月何日何曜日……。今は何年何月何日何曜日……

 

ピンク色の犬は暗闇の中でばらばらにほどけながらXXを追ってきた。知りもしない犬だったが生まれてからずっと連れ添った犬のように悲しかった。犬の映像はテレビの中にあり、XXはその背景の暗がりと一体になった。外では雪が降っていた。雪はこれから一晩中降って積もるのだった。表の通りでは足跡のない雪の面を街灯が照らしていた。別の時間ではその道を犬を連れて近所の男が散歩させていた。その近くの家の奥に入っていくと新しい木の神棚に気持ち悪い呪符みたいなものが貼られている。

 

シュールレアリスティックに描かれたメロン。

 

寝ていると深夜の同じ時間帯にいつも全力疾走していく男がいる。

その男は幻だ。

 

夢の中で死んだのに朝目が覚めると死んだことを忘れていく。

 

そのコーヒーを飲むな。…。