〔車を運転しながら男は言う〕

〔車を運転しながら男は言う〕

 

いや、違うんだ。それは違う。間違っている。勘違いみたいなものだ。確かに物事がそういう風に見えることはある。それはよくわかる。しかしそんな風にものが見えること、そしてそれを君がするように捉えることは、割によくあることなんだ。確かに僕が多くの事例に当たったわけではないけど、そう思う。そして実際にそうなのだと思う。だからあまりこだわらない方がいい。考えても何かが得られるわけじゃないし、そもそもそれは誤解みたいなものなのだ。ありもしないことへの期待というかね。まあでもそれが何かを証明するわけではないから、何を期待するというわけでもないだろうけどさ。とにかく、そんな風に思うことって、あり得ることだってことだ。太陽を反射して輝く海を眺めていたら、ちょっとは神秘的な気持ちになるとかね。そういうことと変わらない。つまりよくあることってことだ。もちろん大切なことかもしれない。それは否定しないけど。でも、あまりそうやって、口に出すべきでもない。