僕はそこに出かけていかなければならない。シャワーを浴びて髭を剃り、髪を乾かして、服を身につける。鏡の中の自分の顔を見る。あまり気が進まないな、と思う。しかし、最低限、乗るべき電車の時間のことを思い出す。窓の外は曇っている。家には僕の他に誰もいない。

 

ファミレスで僕とHさんは長い時間あれこれと喋っていた。赤ワインをたくさん飲み、すごく酔って、楽しく、時間を忘れた。

暗い夜の帰り道で、僕はその情景をふと思い浮かべていた。踏切の中を、電車が大きな音を立てて通り過ぎていく。すごく寒くて、空が澄んで感じる。遠くの音が聞こえてくる。僕はなぜかいてもたってもいられなくて、早足に歩いていく。