脳内で展開される阿弥陀クジ

虹鱒(山の清流)

 

寒空の下で煙草をふかす男がいて、誰かがその男に挨拶をする

 

昼食は薄暗い食堂のカレーライス

 

美術館で変な青い色をみる。見たことがない青色で、神秘的で不気味だ

 

卵を割って黄身が白い器に入る

 

坑夫は深く土を掘る。それは夕暮れのことだ。家へ帰ると温かいスープが出る。子供たちが遊んでいる。ドアを開けると、カラスが何羽か、表の地面に立ってちょんちょんと跳ねている

 

高速道路をすっ飛ばしていくやつら

 

帽子屋で帽子を選ぶ。その時何度か何かをくぐる

 

眼球が虹色になる

 

コンクリートの壁に触れると、奥まで深く冷たいことが知れる

 

早く死ぬことと長く生きることの違いは何か

 

信号機は深夜も稼働しつづけている

 

校庭のジャングルジム

 

ジャムが入った瓶。赤いジャム。いちごのジャム

 

ここで昔、多くの兵隊が死んだこと

 

脳内で展開される阿弥陀クジ

 

誰もいない公園

 

夕暮れの空の下で、神社の木々がそよぐ

 

水槽の中で泳ぐ魚

 

遺書をみんなで読むこと

 

感電死したAくんの話

 

今晩の焼き魚