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ハイになったりローになったり

2016.9.7

 燃えるような気持ち、現実の大きな壁に対する怒りとも言えないような怒り。自分の内側へ向かってぐつぐつと苦しむ痛み。今にも自分を食いつぶしてしまいそうだ。このままじゃ負け犬だ。とりつくろうだけで生きていくなら。もうへつらった笑いを浮かべて生きていたくはない。私たちはそんな感情を持っていたからこそ分かりあい、また傷つけあって、いや、私が君のことを傷つけ続けて、お互いをますますよくしつつ台無しにしてきた。変えなければならない、変えなければならない、変えなければならないと何度も言う。行くあてはない、何度でも内部から内部へ、表層の苛立ちから苛立ちへ。その奥に隠されたものは今まで以上にお互いには分かりにくくなってしまったかもしれない。音を立てて崩れ落ちるこれが最後だという瞬間を何度も耳にした、そしてもうそんな茶番にも飽き飽きしている。でも実際にはそれで何も変わっていない。うまくやり過ごせるようになったことは自分たちが成長したのだということを意味しはしない。また別の仕方で傷つけあうことを覚えただけのことだ。もっと悪い。もっと悪い。でもそこに含みこまれていた時間のことを思うと。

(私たちは海にいる。海の像が今はみえる。狭く切りとられた静かな海のイメージ。二人は白い大きな浮き輪を持っていて、やがてそれを浮かべて海に入る。二人は今よりも若く20そこそこで、今よりも痩せている。彼女はまだ髪がとても長く、私は今と同じ水着を着ている。夏の日が砂を焼く。あの浮き輪につかまって泳いだなら涼しいだろうな。彼はゴーグルを使って水をのぞき込む。水はにごっていて薄い緑色に小さな気泡が無数に浮き上がり消える。)