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ハイになったりローになったり

2016.7.12

「今日はとても空が晴れてる」

「雨降ってきた。じめじめする」

「ごめん、ついさっきまでうとうとしてたんだ」

「それにしてもあっつい日だな」

「ホームはこっちでいいのかな。あと何分後に次の列車はくるのかな」

 [柱の時刻表を覗き込んで]

43分と書いてあります。20分そこそこです。ああ、こっちは休日だった。38分です」

「お前おもしろいな」

「今のちょっともう一回やってみて」

「もうここのとこに草がなくなったので無理です」

「いやー、こいつはうまい」

「今度おいしいそばの店へ案内するよ」

「昨日変な夢をみたんだ」

「どんな夢です?」

「いや、思い出せない……

「おい、もう15分も過ぎてるぞ」

「いや、ちょっと忘れものを取りに戻っていただけです」

「だけってなんだ。だけって言うのは誰なんだ」

「口が滑ったんです。だけってことじゃなくて、そういう意味なんです」

「そうだよ。すぐ隣りの駅であったんだよ。犯人捕まってないの」

「見たの?」

「見たわけないじゃん。わざわざ駅で降りて見に行くとでも思うんですか。そんな野次馬じゃありません」

「それって一般論で言ってるんですか。それとも僕のことを見て言ってるんですか」

「あんた難しいこと聞くね」

「難しいですか」

「そりゃ一般論だよ。あんたのことほとんど何も知らないもの」

「心外だな。もう3ヶ月もいっしょにいるじゃないですか」

「家が燃えている……

「正直ね、けっこうきついよね」

「話聞こうか?」

「いや……、別にいい」

「帰り8時過ぎるよ。遠いな」

「のんびりしすぎましたね」

「あいつめっちゃショック受けてたぞ」

 

「もう寝た?」

「うとうとしてました。また寝る」

「おやすみ」

「おやすみなさい」

 

「8番線ホームから沖津根津行きの発車です」

「まあ近況報告はこんなところ」

「よくそんな派手な車買うもんだね」

「いや、そんなにもらっても俺も食べきれないから」

 

「だから言ったろ。中華料理屋の中に中華料理屋だって。その中のがうまいんだって」

「すいません、ごちそうさまです」

「またお話ししましょう。ではさようなら」