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ハイになったりローになったり

2016.7.11

 黒い長い髪の女。干上がった川底のひびわれた土を踏んで歩く。彼女はサンダルを履いている。彼女はスニーカーを履いている。ひびわれた地面からは枝分かれした細い茎のいっぱいに伸びている。飛び散るように咲いた小さな花を彼女は見下ろす。しゃがんで見る。手でつかんで鼻先に近づける。黒い写真の中で彼女のことをみた。その日彼女はそこにいた。黒い空、遠くの鉄橋、晴れた昼間の空がただ広く黒く広がる。彼女はその花の名前を知っているし別の花も知っているし彼女にとってそのひび割れはひび割れ以上のものだ。電車に乗って彼女はそこにきた。その前はアパートの部屋にいた。その部屋で泣いていたこともあった。自転車を持っていた。彼女はいくつかの芸術を試みた。試みてはやめた。トーストではなくご飯と味噌汁を朝に食べる。彼女はグミを食べる。彼女が食べるグミの種類はいつも変わっていく。

 窓の外で電車の音がする河川敷にすごい色の暗い夕暮れがくる。夜に彼女は帰ってくる。朝には目が覚める。テーブルの上で髪をかきむしる。レンジでパックのご飯が温まり終わる。