夢でつけた車体の引っ掻き傷が気になるような気がする
with no trace
これまで何をし、
どこに行き、
誰と出会い、
何を話し、
何を思い、
どんな感情にとらわれ、
頭は記憶に溢れていたとしても、
家についたなら息を整え、
シャワーを浴び、
歯を磨き、
服を着替えて、
そのソファに落ち着いた顔で座っていたなら、
君の過去は誰にもわからない。
ビジョン
巨大な星と星とがぶつかり合う、
火花を散らす接点、
それこそがこの現実というものであり、
それは耐えず破壊されているのだが、
限りなく平静でもある。
夢
さっきまで洞窟で話していた、あの人相の悪い男は、
指名手配犯だったのだと、表に出た張り紙をみて知る。
少しためらって、結局警察に電話をする。
けど、窓口の女の警察官が要領を得なくて、まともにことが進まない。
僕が通報していることがあの男にバレたら、
ひどい目にあうだろうな、と思って焦る。
二つの原理
(存在でありうるもの)
と
(存在させているもの)
の
時間を超越した遊戯
■
朝目が覚めたとき、薄暗い部屋で、居間に怪物がみえる。
変な黒い塊で、とても危険なものだ、という印象を、その瞬間に僕は抱いている。
声を上げる。
でも、よく見るとそれはただの扇風機で、一度扇風機にみえてからは扇風機にしかみえない。
こういうことはよくある。
思うのは、結局それは扇風機だったのだから、扇風機なのだ、と言えるのか、ということ。
明らかに輪郭上も怪物とはみえないものを、何だかわからないので、
心がそこに怪物を投影している。
後から、それが怪物ではないと判断して、今度は、
扇風機を投影しているわけだが、
実際そこにあるのは、
怪物でも扇風機でもない何か、だ
ということができないかと思う。
というか、実際そうなんだろう。
ここにあるのは、怪物でも扇風機でもない。
そして、一方で、
これは怪物である
これは扇風機である
という判断を下しているのは、
僕の心であり、それは自分でコントロールできない深いところで、
なされている処理だ。
あるものを、
怪物にみせ、
また扇風機にみせている、
心の根本的な働きとは何か?
何がそうさせているのか?
これもまた問題だ。
つまり、
外界には「あれでもなく、これでもない何か」があり
内部には「あれをこれと見せ、これをあれと見せる何か」がある。
そしてその二つとも、意識には昇ってこない、
分かってしまうと危険なもの、と言える。
僕はこの二つが非時間的なものだと思う。
短文
こんなところにバス停なんかあったのか