サッカーゴールのある風景。夕暮れに子供たちが遊んでいる。空は真っ赤で、辺りは血のように黒く赤い。みんな自分たちがどこにいるのか、すぐそこにいるのが誰なのか、わからないほど影に溶けている。ある少年がサッカーボールの上に片足をついて立っている。そして誰かの名前を呼ぶ。

 

その森の木々はとても背が高い。辺りはとても冷たいけれど、寒くは感じない。湿度が高く、喉の奥が潤って感じる。見上げていると、空は白い。風が吹いて木々が揺れる。

それは人間の魂に関することで

夜中の森のように、密集していて稠密

誰かが助けを欲していて

彼には光が必要

 

あなたは走り書きのメモ

脚が生えているみたいな隊列

ゆっくり動く黒い球

丸カンの中のスープ

飛び去る蝶を 両手で追いかける

その靴音がうるさくて 眠りを覚ます恐いやつ

 

黄色い雨がっぱを着て 彼は雨の中で口をむすぶ

つぼみがぱっと赤くはぜる

誰かが黒板に落書きをしていく

電話が鳴り響く

 

投げ出された腕

雷鳴

嵐の海の光

何か、木の板のようなものに捕まって、

僕は海の波に飲まれている

ここはどれほど沖なのか

こうしていることは危険なのか、そうでないのかわからない

板の浮力で浮き上がり、空と海をみる

そしてまた真っ暗なものの中に沈んでいく



太陽の光が斜めに差し込む部屋で

黒いかたまりと出会う

そのかたまりは僕に

小さい頃に聞いた何かのおとぎ話を思い出させる

何の話というのじゃなく、ただ何となく薄暗くて

物悲しくて、懐かしい

そこに向けて重力が働くように

黒いかたまりはそこにいて

僕はここでそれに出会うべきではないと思うのだけど

それでもどこか

嬉しいと感じている



身体がばらばらになる

爆笑

静かにしろ

誰かが走っていく

 電話がかかってきたときから、嫌だった。電話がかかってくると大抵嫌な予感がした。しかし今回のことでは驚いた。なぜ◯◯がくるのか?

「上がってきてください」

 と僕は言ったが、正直別にきてほしくなかった。一人でいたい気分だった。

 それに、上がってきてもらうなどということは無理だ。僕は階段を降りて行った。玄関のドアのすりガラスの向こうに、〇〇のシルエットが立っていた。

「どうしたんですか、こんなとこまで」

 僕はそう言って笑った。

「いや、なんかさあ、変だと思ってさ」

 僕は〇〇の目の焦点が少し変だと思った。夕方で辺りが金色だった。

「何がですか?」

「いや、朝起きたときにさ」

 言いながら〇〇は何かを見つけたように足元を見た。僕もそこを見たが何もなかった。蟻も這っていない。ただのタイルだった。

「めざまし時計が鳴って」

「うん」

「すごいうるさかったわけ」

「はい」

「いつもこんなうるさいわけないのになーって」

「で、やっぱちょっと変なんじゃねーかと思ったら、テレビが映ってて」

「テレビだよ? うちって、別に朝自動でついたりしないからさ」

「いやこれ夢かな?と思ったんだけど、ジャンプしたりさ、してみたんだけど、あ、これ夢じゃねーやって」

「気づいたんだよね。で、テレビみたら大写しで」

「君が映ってたからさ。あれ、これダメじゃねって。これダメなやつじゃね?って思ったわけよ。死んでんじゃんって。うわーこれはないわーというかなんというか、にわかには?信じがたかったわけよ」

「で、確かめなきゃと思って、急いできたんだけど、なんか元気そうだね」

「うん、はい」

「なんともないわけ?」

「うん、はい。別に」

 僕は証明するようにその場で軽く跳ねた。

「じゃあなんなん、あれ」

「あれってなんです?」

「えっ、知らんの?」

「ああ、いや、知ってます」

「なんなの、どうしたの?」

「あの凍ってるやつですよね」

「凍ってるっていうか、うーん、なんだ、あれ? 青い感じの映像っていうか、なんか、水中みたいな?」

「いや、別にあれは水中じゃないっすよ。めちゃくちゃ冷たいだけで」

「いや、というかさ、別に水中かどうかはどうでもいいわけ。だってわからんでしょ? どっちにしてもさ」

 〇〇はだんだんテンションが高くなってきていた。

「だってこっちとしては、それ以上に衝撃が大きいわけよ。だって全国ネットでさ、十数年来の友達がさ、え、死んでね??みたいな。なんか、よくわからん、水中にみたいな所にいるし」

「なんか内蔵みたいなん出てますしね」

「そうそう。ね、みた? なんかこれ、うわっ、きもっ、みたいな。てかさあ、あれは何? どういう状況だったわけ?」

「いやだから別に、あれはなんでもないんですよ」

「なんでもないことないだろ、映像になってんだから、ああいう事態は生じてるわけだろ?」

「いや、だから生じてないですよ」

「は? 何で?」

「だからあれは夢だからですよ」

 と、僕がそう言った瞬間、〇〇は玄関先から消えていた。僕は金色の夕日が照らす玄関に立っていた。

 という夢を見て僕は飛び起きた。